八ッ場ダムは必要か?

山内都議とダム2号橋にて
山内都議とダム2号橋にて
秋晴れの連休中日、3年ぶりに川原湯温泉駅に降り立ちました。
この地域では、8月7日の集中豪雨により、大規模な土砂災害が発生し、駅前の山林から流れ落ちた大量の土砂が、国道や吾妻線の線路まで達したため、吾妻線は翌日まで不通となり、国道の復旧は11日までずれ込むほどの影響が出ており、駅前には大きな土嚢が置かれていました。

もともと八ッ場ダムの予定地は、地盤が悪く、地滑り、斜面崩壊、土石流など心配されて来ており、「地滑りのデパート」と呼ぶのが、ふさわしいような状況になっています。国道の付け替え工事は、2010年12月19日から、9.4kmが開通し、残りの下流部の区間は、JR吾妻線の付け替え工事の難航で遅れており、肝心な新駅の工事は、用地買収の目途がたっておらず、完成までまだ年数がかかる見込みです。

現在、川原湯温泉で営業を続けている旅館は、5軒だけです。国土交通省によれば、源泉から打越代替地へ湯を汲み上げる配湯施設が、2012年5月に暫定的にでき上がり、代替地移転後の各旅館への湯の供給が可能になるとされていますが、維持管理費(年間2000万円程度)は地元負担となっています。数少ない旅館が、打越代替地に移転して営業する場合、果たして地元で負担していけるのか、という問題があります。
また、吾妻渓谷の最上流部は、ダム工事で破壊され、今の素晴らしい風景も壊されてしまいます。八ッ場ダム予定地の上流域には、数万人が住み、草津温泉、万座温泉などの観光地に数多くの観光客が訪れており、果たして造成地につくられた人工的なまちに、どれだけの観光客がやって来るのか、八ッ場ダム湖が観光資源になるのか、疑問です。

川原湯温泉街をはじめ、ダム予定地の住民は、生活設計が立てられず、苦しみの日々を送っています。ダムの検証とは切り離して、地元住民への支援策を早急に具現化していかなければなりません。