「終わりよければすべてよし」

ターミナルケア(終末期医療)を考える

羽田澄子監督の作品「終わりよければすべてよし」が、岩波ホールで上映されています。この映画は終末期医療の問題を取り上げています。
現在、日本では病院で亡くなる人は全体の80%、在宅で最後の時を迎えられる人は13%にしかすぎません。自宅で安らかな死を望んでも往診してくれる医師も少なく、何かあった時24時間いつでも専門医に連絡をとって適切な対応をしてもらえるような体制にはなっていない状況です。
この映画は、日本で在宅や福祉施設でターミナル(終末)ケアに取り組んでいる地域の例やオーストラリア、スウエーデンの進んだシステムについて取材しながら紹介し、これからの看護や介護のあり方について問いかけています。
末期のガン患者へ痛みを和らげるための「緩和ケア」を行っているオーストラリア、バララットにあるクイーンエリザベスセンターの一角にある緩和ケア病棟「ガンダーラ」が出てきますが、ここでは自宅、病院、緩和ケア病棟を患者の症状によって自由に移動することが出来ます。さらに、在宅でも医師や緩和ケア専用のホスピスナースがおり、そのシステムが出来上がっていました。

日本の地域でも医師や専門職の人達が、ターミナルケアに取り組んでいます。
映画の最後に紹介される「医療法人アスムス」の太田秀樹先生に、「尊厳死とはどうあるべきなのか」そう尋ねた時、「尊厳ある生活がない限り、尊厳死なんかあり得ない」ときっぱり言われ、返す言葉がなかった事を思い出しました。

この映画は、「死」という重いテーマを正面から取り上げていますが、ぜひ多くの人達に見ていただいて、ターミナルケアの問題を一緒に考えていければと思います。

           岩波ホールでロードショー
(毎週木曜日の4時50分から勉強会も行われます)

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