いじめのない社会を

大津市立中学2年生の男子生徒が自殺した問題で、学校が学校生徒に約860人にアンケート調査した結果が、新聞で報道されました。
その回答では、約150人が「悩みに気づいてあげられなかった」「こんなに思いつめている人が近くにいるのに、助けてあげられなかった」など、自責の念や心の葛藤を書いている人達もいます。
また、埼玉でも2005年に自殺した中学生の両親が、市と国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、いじめと自殺との因果関係が立証できず、両親の請求を棄却する判決を言い渡しています。

1989年に、国連総会で「子ども権利条約」が採択され、20年が経過しましたが、いじめ、虐待、体罰など子どもの人権侵害はなくなっていません。
日本では、条約そのものや「権利の完全な主体としての子ども」という、条約を支える考え方が、社会に十分に浸透されていないと国連・子どもの権利委員会から指摘されてきました。権利条約が国内法に優位し、裁判所で直接適用できるにもかかわらず、裁判所で直接適用されることがほとんどないことや学校のカリキュラムに人権教育が体系的に取り入れていないことも課題です。

先日、世田谷で「子どもの権利って何?」と題して、ワークショップを行いました。このワークショップでは、子どもの権利条約について学ぶとともに、どのよう事が、権利侵害になるのか、考えさせられました。
今の日本の教育システムは、あまりにも競争的なため、子ども達から遊ぶ時間や体を動かす時間や、ゆっくり休む時間を奪い、子ども達が強いストレスを感じていること。それが子ども達に発達上のゆがみを与え、子どもの体や心の健康に悪影響を与えている事が、子どものいじめや自殺に関わっているのではないでしょうか。
その事を考えると権利条約のうち「子どもの最善の利益」第3条「生存と発達の権利」第6条「子どもの意見の尊重と参加する権利」第12条は、重要です。

子どもが自ら命を絶たなければならない状況を、周りの大人や友達が救いの手を差しだしてあげられない現状を変えていく必要があります。
そのためには、学校での人権教育や行政から独立した監視機関として子ども権利オンブズパーソン制度を確立し、学校、家庭、地域が連携していじめのない社会を早急に実現しなければなりません。