そこで、今回の新春のつどい基調講演として、菅谷昭松本市長をお迎えして、お話を伺いました。菅谷市長は、1996年に信州大学助教授をお辞めになり、ベラルーシに渡り、チェルノブイリ原発事故の医療支援活動に参加し、小児甲状腺治療を行ってきた方です。放射性物質は、小さなお子さんほど影響を受けやすいと言われていますが、実際に、チェルノブイリ周辺では、事故後5-6年後に、甲状腺ガンを発病する子どもたちが、急激に増えてきました。
25年経過した今でも、免疫力の低下により、貧血や病気にかかる子どもたちが多く、疲れやすいので、学校の授業時間を短縮したり、早産や低出生体重児などが増えるなど、周産期にも影響が出ています。現在、長野県子ども病院では、現地からの医師を招き、小児科、産婦人科などで、周産期医療の研修を行っているとのことでした。
チェルノブイリ原発事故は、炉心溶融の後、爆発し、放射性降下物がウクライナ、ベラルーシ、ロシアを汚染し、今なお半径30km地域は居住禁止で、11万6千人が移住しています。
「原子力災害は、一度起こすとなかなか地域に戻れない状況であり、低レベルの放射性物質でも、どのような影響を与えるのかわからないから、慎重に行動していくべきだ」と、菅谷さんはおっしゃっていました。