国の施策で、病院から地域へという流れの中にありながらも、いまだ諸外国と比べると精神病床数が多く、その背景としては、条件が整えば退院ができる社会的入院者を含む長期にわたる入院患者の問題が指摘されています。
しかし、日本の現状では、急性期病棟から退院した利用者を地域で支える包括的システムは確立していません。そのため、重い障がいがある人は、長期に入院し続けるか、再入院し続けるか、再入院を繰り返すのか、あるいは自宅で孤立した生活を送っている状況です。
京都のACT−Kでは、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、薬剤師、精神科医、臨床心理技術者、就労支援担当者といった多職種によるチームで支援しており、ひとりの利用者に対し主担当が指定されますが、ケアはチーム全体で担当し、サービス提供や目標達成についての責任もチーム全体で共有することになっています。
視察した金曜日の夕方は、スタッフのメンバーが全員そろい、それぞれの担当者から報告がされていました。その話合いは、とても明るくオープンです。
その内容は、医療中心の報告ではなく、生活支援中心の話題がつきません。
高木先生は、「専門職のメンバーが優秀であれば、医療は後からついていくだけ」と話していました。このような包括的支援が行えるACTは、日本に11カ所出来ていますが、今後家族支援や地域づくりも視野にいれたACTが期待されています。