少年法の改正

11歳でも少年院?

5月25日の参議院本会議で改正少年法が成立しました。今回の改正により少年院に収容できる年齢の下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げることになります。「おおむね」の幅は一年程度とされ、11歳の小学校5年生も少年院に入る可能性があることになります。

少年法が大きく改正されたのは、刑事責任を問う年齢を16歳から14歳に引き下げた2000年。97年に神戸で起きた連続児童殺傷事件をきっかけに対象年齢の引き下げについて議論が巻き起こり、50年ぶりの法改正になりました。
その後、2003年、長崎市で中学1年生が幼児を殺害、04年佐世保市で小学6年生が級友をカッターナイフで殺害する事件が起こり、さらに今回の改正への動きに繋がっています。

しかし、刑事責任を問う年齢を引き下げれば、凶悪な少年犯罪は減少していくのでしょうか。この改正では、調査の権限が警察にあることが条文に盛り込まれ、事情聴取など厳しく取り調べることができるようになりました。その取り調べがいきすぎたものにならないか、心配される点もあります。
14歳未満という、威圧に弱く暗示にかかりやすい年齢の子どもに対して的確な質問が出来るのか、など国会でも多くの意見が出たようですが、密室での取調べには危うさが常につきまとうと思います。
先日大阪高裁は、04年2月の大阪地裁所長に対する暴行事件で犯人グループの1人とされた少年を少年院送致にした大阪家裁の決定を取り消し、家裁へと審理を差し戻しました。それは警察に威圧的な取調べがあったと指摘したうえで「自白は取調官の誘導が伺われ信用性に疑いがある」からだとしています。

改正の法案は05年3月に国会に上程された後、廃案そして再提出や継続審議が続いた後、今年3月審議され、衆議院法務委員会では与党が自らの修正案を強行採決しました。もっと十分な議論が必要だったのではないでしょうか。