4月23日「犯罪被害者の人権を考える」と題して、地下鉄サリン事件の遺族である高橋シズエさんと嵐山町犯罪被害者等支援条例にかかわった渋谷とみこ埼玉県嵐山町議員をお呼びして、祖師谷地域でミニフォーラムを行いました。お二人とも犯罪の被害者であるだけに、伺うお話は生々しく深刻です。
地下鉄サリン事件からすでに10年経過しましたが、高橋さんのお話では、いまだに被害者の人たちは様々な問題を抱えながら生活しています。恐怖心から地下鉄に乗れなくなり、引越をしなければならなかった被害者、立派な資格をもっているのに、通院時間が必要なためアルバイトしか仕事ができない被害者、家族や職場、ときには医師からも理解してもらえず、孤立感をつのらせる被害者もいるそうです。
「あの事件から10年」しかし、多くの被害者は命をつなぎとめるのに精一杯で、その日を生きるのに必死。そして10年間もの間被害者の精神的、肉体的苦痛は癒されているのではなく、「何ひとつ解決していない」と、高橋さんは話します。犯罪被害者には「犯罪被害者等給付金支給法」に基づく補償がありますが、当時は支給範囲が限定されており、地下鉄サリン事件の被害者で支給対象になったのは、たった2人だけです。それなのに、事実を知らない人たちには、すでに国からの補償があったと思われています。無差別殺人事件、凶悪な少年犯罪など何の落ち度もない市民が犯罪被害者になり、精神的苦痛、後遺症の苦しみを味わい、狂わされた人生を送らなければならない時、その人たちの人権がどのように守られ、その人たちの人生がどのように補償されるのか。今の日本の社会では、ようやく社会問題として意識されるようになりましたが、その対策や支援については、欧米からはるかに遅れています。