なくそう! ドメスティックバイオレンス

DVのない地域をつくるために(生活者せたがや1面より)

ドメスティックバイオレンス(DV=配偶者や恋人からの暴力)は、家庭内で起きているだけになかなか表面化せず、私的領域として行政もあまり介入できなかった問題でした。しかし最近では全国で起きる殺人事件の1割はDVが原因であり、放置しておける問題ではありません。2001年4月に「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が制定され、今年は改正法案も論議されましたが、まだ多くの課題が残っています。

今年5月、改正DV防止法改正が成立

2001年に制定されたDV防止法の対象は配偶者だけだったため、離婚後も別れた夫からつきまとわれる行為や若い恋人同士のデートDVなどには適用できませんでした。
また、「誰のおかげで食べられると思っているのだ!」と言い放され、男性が優位な立場を意識的に、あるいは無意識的に利用して女性を支配するような精神的ないやがらせは含まれず、暴力の定義が狭すぎること、被害者の自立にむけた生活支援については十分な対応がとられていないことなど、当事者やシェルターを運営する市民団体から様々な意見がだされていました。その意見や要望を受けて、この5月DV防止法は改正されました。

改正のポイントは?

改正の主なポイントは3つ、
その1点目は、配偶者からの暴力の定義が「身体の暴力」だけではなく、「心身に影響を及ぼす言動の暴力」までに拡大され、離婚した元配偶者に対しても接近禁止命令及び退去命令を発することができるようになり、その期間も2週間から2ヶ月に拡大されました。
2点目は、DV被害者の子どもの3分の2は暴力をうけており、不登校、ノイローゼになることもあり、子どもへの接近禁止命令も加わりました。
3点目は、職や住居の確保など被害者の自立支援が明記され、国が基本方針を作り、都道府県が基本計画を策定する義務が発生したこと。市区町村においては今まで情報提供や保護だけでしたが、住居の提供や生活支援など具体的な相談や支援を行なうことになりました。

生活者ネットワークの議会質問から実現したカード

世田谷では、DVに関しての相談件数が平成14年度の211件から、15年度は637件と3倍に増えています。これは、DV防止法の施行により、「DVは犯罪である」と認識され、新聞やテレビなどでDVに関する情報を目にする機会も増えたためと思われますが、その反面、まだまだDVについて知らない人も多く、暴力被害にさらされた女性が多くいるのではないかと思います。
世田谷では、より多くの人に電話相談を周知するため名刺サイズのカードを作成し、公共施設の窓口やトイレなどに置いています。これは生活者ネットワークの議会質問から実現しました。家庭内の暴力事件は年々増え続け、命を落とすような殺人事件や親戚や友人などが巻き込まれるケースもあり、地域からDVを無くしていくことが必要です。そのために行政、市民そして関連の団体が一緒に連携し問題解決に向けた取り組みを進めていけるよう、生活者ネットワークは求めていきます。