「認知症と共に暮らせる社会をつくろう」
~NO寝たきりデー 2014~
9月15日は、敬老の日。総務省は、14日「敬老の日」に合わせて、高齢者人口推計を公表しました。それによりますと、65歳以上の高齢人口は、3296万人(総人口の25.9%)4人にひとりが高齢者という時代を迎えました。さらに、75歳以上が1580万人となり、過去最高です。
団塊の世代がすべて高齢者となる2015年から後期高齢者となる2025年まで、東京の高齢者人口は増え続け、社会保障や介護、医療についての課題が山積しています。
先日開かれた「NO寝たきりデー」は、今年で25回目を迎えますが、「認知症と共に暮らせる社会をつくろう」と題して、シンポジウムが開催されました。
世界で高齢化が最も進んでいる日本では、認知症の人が急増しています。
徘徊をして行方不明になった人も1万人以上もいるというニュースも流れ、増え続ける認知症の問題にどのように取り組んでいったらよいのでしょうか。
この日講演を行った上野秀樹先生(海上療養所 精神科医)は、都立松沢病院で、2004年から3年間、認知症精神科専門病棟を担当し、その後、海上療養養所では、700枚以上の行動、心理症状のある認知症の人を診療し、認知症の人への精神科訪問診療などの診療所の工夫で、精神科病院にほとんど入院させることなく、地域で認知症の人を支えることを行っています。
「認知症の人が暮らしやすい社会をつくることは、実は、認知症の人だけではなく、普通の人にとって暮らしやすい社会の実現につながる」と、医療の実践現場から、訴えています。
世界の精神科の病床数は185万床。そのうちの2割は、日本が占めています。デンマークでは、「30年前は、認知症高齢者を精神科病院に入院させていたが、今は皆無に近い」「イギリスは精神科への転科、転院は1%」です。
日本では、民間の病院が多く、今後の経営を継続するためにも、認知症の人を入院させると言われていますが、当事者の立場にたったケアのあり方を検討していく必要があります。