「従来の専門医療にこだわらずチーム医療で」

長野県立こども病院の視察報告から

7月のはじめ、東京・生活者ネットワークのメンバーと長野県にある諏訪中央病院と長野県立こども病院を視察しました。
地域医療が進んでいる長野県、一人あたりの医療費も全国の中で低く、以前からぜひ見てみたいと思っていた所です。
初日の諏訪中央病院は、鎌田實先生(諏訪中央病院名誉院長)で有名でもあるせいか、全国からの視察が絶えないようですが、当日は事務方の人にしか会うことができず、病院の理念や医師の熱い思いなどを聞くことができませんでした。「予防からリハビリまでの一貫した医療」「地域に密着した手づくりの医療」を目指しています。
緩和ケアにも取り組み、施設内にハーブガーデンが作られおり、多くのボランティアに支えられ活動が進められているのが、印象的でした。

2日目は、安曇野市にある県立こども病院、昭和60年ごろ県民へのアンケート調査から「こども病院をつくってほしい」という要望に答えて、全国9番目の県立こども病院としてスターとしました。
以前は紹介を原則としていましたが、今では出来るだけ多くの患者を受け入れようと、そのハードルを低くしています。
総合診療部を設置し、小児総合医療と高度専門医療を組み合わせたチーム医療を行っており、子どもの病気に柔軟に対応できる体制がつくられています。
また、周産期医療の中核病院として、出産前後の母体・胎児から新生児に至る一貫した高度専門医療を提供しています。
近年、救急で受け入れてもらえず、長時間たらいまわしにされ、子どもや母親が亡くなる事故が増えてきている中で、「小児救急は、原則すべて受け入れる。やむをえず受け入れられない場合は、依頼を受けた人が責任をもって他の施設を捜す」という病院側の姿勢には驚きました。

「赤いとんがり帽子の時計台」に象徴される子ども病院、北アルプスを背景にしためぐまれた環境で、その医療にかける熱い思いは担当の先生のお話からも伝わってきました。