隅田川、神田川、日本橋川を小船で下る3時間、いつも見慣れている東京の街も違って見えます。東京の川は、高度経済成長期には生活排水の流入により水質が悪化し「死の川」と呼ばれ、「汚い」というイメージが強かったですが、下水道処理の整備が進み、水質が大幅に改善され、鮎や鮒などが生息するようになりました。隅田川の護岸には散歩道が整備され、花壇や「隅田川ギャラリー」と呼ばれる壁画も人々を楽しませ憩いの場になっています。
平成9年河川法が改正され、川について治水、利水の他に「環境」という視点が盛り込まれ、人間のうるおい、いやしを与えるものとして注目されるようになりました。東京都の「21世紀における東京の川の望ましい姿」によれば、「安心できる川」「人が集まり、行き交う川」「散策・水遊びできる川」「アユのすむ川」の4項目が東京の川の目指す方向になっています。
それを実現するためには、市民参加を進め、それぞれの地域の行政が連携し、地域個性に応じた川づくりを進めていく必要があります。
今回の川くだりを通して、川の護岸も地域によって、きれいに整備されている所もあれば、コンクリートの三面張りで味気の無い風景もありました。
これは、護岸整備を担当している行政の思いの違いが現れているのだそうです。
高層ビルの街も緑に覆われた川岸を見ながら川風に吹かれて見上げると、また東京の街も違って見えるのは不思議です。遠い江戸時代には、荷物を運ぶ手段として使われていたこの川も、現代は緑や風、水のネットワークとして貴重なものになりました。
「地球温暖化の問題を考えると水は大きな柱」と話していた神田川ネットワークの糸井さんのお話のように、身近な地域の川づくりから市民が関心を持ち、参加していくことが大切です。