「在宅での精神医療の取り組み」

NPO在宅医療を支える診療所市民全国大会 名古屋から

この連休(10日、11日)、名古屋ではCOP10が開かれましたが、毎年行われている「NPO在宅医療を支える診療所市民全国大会」も、名古屋の名城大学で行われました。今年のテーマは「家族を大切に出来る地域づくり」。シンポジウムの冒頭には河村たかし名古屋市長の挨拶があり、相変わらずの名古屋弁に親しみを感じます。在宅医療をめぐる環境整備は、小児医療や高齢者、障がい者など様々な分野に分かれており、特に精神障害については、これまで病院や施設が中心に治療が行われており、在宅医療の取組みは課題も多く残されています。今回、大変興味深くお話を伺ったのは、NHKの番組でも取り上げられた京都の高木先生の取組みです。高木先生は、重い精神障害のある人が住み慣れた場所で暮らせるように、必要な支援を様々な職種による専門家チームによって提供しています。「包括型地域生活支援プログラム」ACTは、重い障害をもつ人やその家族が安心して質の高い生活を送れるように、24時間、365日体制で支援しており、今後このような在宅医療を中心とした取組みが広がるように、国や都、市区町村の政策を転換していく必要があります。

厚生労働省の患者調査では、医療機関に罹っている精神疾患の患者数は、最近10年間で約1.6倍になり、増加の一途をたどっています。中でも、うつ病などの気分障害は2008年に100万人を超え、1999年の約2.4倍(日経新聞参照)になりました。
一方、重度の統合失調症などの患者では、入院しても十分な治療を受けることができない場合もあり、精神科の病床数を削減して、地域で「訪問支援」を中心に多職種でチームをつくり、イギリスのように適切な医療や支援が提供できるよう、「こころの健康政策構想会議」より国に提言があげられました。イギリスでは、3大疾患に位置付け、国家プロジェクトとして取り組まれた精神疾患の問題を日本でも国をあげて取り組むように、100万人署名活動も市民によって広げられています。

精神医療の改革で「こころの健康の危機」を克服出来る安心社会の実現をめざしましょう。