議会に提案されてからこの間、行政からの説明と1回の質疑(ネット、民主、共産)を行っただけで、以前行ったように参考人招致を経て、十分な議論をするようなことなく、委員会当日に付帯決議がつけられ、この改正案が通されたことは、残念でなりません。
この度の条例案は、本年2月に都議会に提出されたものを修正したものであり、曖昧であると指摘された「非実在青少年」という言葉は消えたものの、表現規制についての曖昧さはまだ残っています。むしろ以前より規制する対象を広げており、見る側の規制ではなく、表現や創作を行う側や出版側への規制になる内容になっています。これまでの質疑を経て、醜いマンガだけを指定できる明確な線引きは難しく、行き過ぎを牽制するのであるなら、最小限のものにすべきです。さらに、仮に不健全図書として指定された場合、異議申し立ての制度もこの条例には明記されていません。
また、不明確な要件で、保護者の保護監督及び教育の義務を定め、都知事が保護者に対し、説明、資料の提出を求めることが出来るなど、家庭教育の自由を侵害するおそれもあり、この条例改正の趣旨が変わったわけではなく、反対しました。
今、子ども達に真に必要なことは、悪質で俗悪な映像や出版物などを目にしても、きちんと批判できるように育てることであり、温室の中で育てても決して健全に育成されるものではありません。
子ども達を救済するためには、子どもの権利保障や最善の利益保障の理念を前提として、子どもの性的搾取・虐待などを、子どもの権利侵害と認識することから始め、青少年健全育成条例は撤廃し、子どもの権利条例を都に制定することを求めます。