人と人とのつながりで得られる家族的支援 ~ ふるさとの会主催 2012年度シンポジウム ~

認知症になっても、病気になっても、障がいがあっても、生活に困窮しても、地域で孤立せず最期まで暮らせるようにするためには、生活支援や在宅医療、介護など、地域包括支援が必要です。しかし、東京は高齢化が進み、ひとり暮らしの高齢者も増加してきました。これまで家族が支えていた生活支援も、今や家族だけではなく、近隣やNPOなど、社会的な資源によりソーシャルサポートを行い、一人ひとりに寄り添った支援が求められています。

 今回のシンポジウムでは、ふるさとの会代表 水田恵さん、東京都医師会長 野中博さん、暮らしの保健室長 秋山正子さんなど、各方面からの発言があり、とても意義深いシンポジウムでした。
特に、印象に残ったお話は、昨年の7月から、都営戸山ハイツの空き店舗を活用し、「暮らしの保健室」を開設、地域の医療、介護、健康などに関する相談事業を行っている秋山正子さんの取り組みです。都営戸山ハイツは、すでに2人に1人が高齢者という状況になっており、ちょっとした健康不安を解消するための気軽な相談支援の場所があることで支えられている安心感から、自信を取り戻しながら暮らし続けることができるそうです。役所や病院の相談室とも違う新たな取り組み、地域の中の地域力の活用にもつながります。

住み慣れた地域での暮らしを支えていくには、家族のような「よりそい支援」と医療、保健、介護など、生活に必要なサービスをコーディネートする人が重要になってきます。ふるさとの会代表の水田さんは、「福祉はお金を出すことだと思っている人がいる。しかし、生活困窮者の人たちに、生きてみようかと思える気持ちにさせるには、人と人とのつながりで得られる支援が                必要だ。」と訴えていました。

 今後、地域における相談事業や生活支援、在宅医療、介護など、地域包括支援を進め、住み慣れた地域で、いつまでも安心して暮らせる東京のまちを実現していきます。