「持続可能エネルギーの導入“スマートグリッド”」

 都議団海外調査報告 その4

猛暑が続いており、暑くてエアコンなしでは、室内で過ごすことが出来ない毎日、環境のことはつい忘れがちですが、この春に視察したオランダでは、CO2削減40%の高い目標を掲げています。
財団法人ECNエネルギー調査センターは、アムステルダムから車で約1時間半ほど北に行ったPETTN市にあり、1955年設立されました。予算は年間7000万ユーロで、5%はEUからの予算です。
オランダのCO2排出の30%は産業、35%は交通、残りの35%は建物から排出されています。電力確保において、水力・風力を増やすには土地に限界があり、建物における省エネに可能性があると考えています。そこで、家庭用電気機器の省エネにより40%〜50%、建物の断熱により60%〜75%、雨水利用により15〜20%、これらにより全体で20〜40%のCO2削減が出来ると予測しています。

「スマートグリッド」という言葉は、最近よくテレビでも聞くようになりました。電力を「発電」「送電」「使用」の3つの段階に分けた場合、供給=発電は急に増やすことができないので、需給のマッチングを行ったり、使い方を指導したり、フレシキブルな使用方法を提案するなどして、配電を行うことがスマートグリッド(かしこい送電網)です。
今後オランダでは、電気自動車や電動の乗り物、暖房などの電気重要があがると予想されているため、スマートグリッド導入は欠かせません。需要に応じる供給ではなく、供給を最大限活かすために、電力需要の調整や季節別、時間帯別料金制度の導入などに取り組んでいくということです。

日本でもようやく、次世代スマートメーターに関する実証実験を行うなど、本格的な取組みを開始しました。スマートメーター設置により、消費電力の時系列での使用量を通信回線で把握できます。需要に合わせて供給を一致させなければならない「同時同量」による使用ピークの問題や、蓄電・蓄熱を効果的に行っていくためにも、いつ、どのくらいの電力を供給し、又は、使用を制限し、余剰電力を蓄えるかの具体的データの基礎となるスマートメーターの設置は重要です。
まだまだ課題も多く残された手法ですが、将来にむけ持続可能な社会の形成と化石燃料から自然エネルギーへの転換が、これからの政策如何によっては、大きく進展していく可能性があるのではないかと思います。