まちの起業でつくるコミュニティ ~ 韓国スタディツアーに参加して その1 ~

「暮らしに必要な事業を自分たちでつくる」韓国のソンミサン・マウルを訪れる日本希望製作所企画のスタディツアーに参加しました。

ソンミサン・マウル(マウルは町や村の意味)は、ソウル市の中心部 麻浦(まっぽ)区の標高60メートルの小山を取り巻く地域にあります。
1994年、この地域に集団移住した30代の共働き夫婦25世帯が、自分たちの必要性から共同育児施設を設立し、地域の人たちのつながりが徐々に広がって行きました。
共同育児の活動は、子どもの成長や発達につれて、学童保育や代案学校など、新たな必要性を産み、 地域の人たちが資金を出し合い、自分たちの理念にあった教師を採用し、学校を運営しています。
また、食の安全のための生協や共同住宅、劇場、カフェ、レストラン、リサイクルショップなど、70を超える、新しい文化や開かれたコミュニケーションを支える多彩な活動や事業体(マウル企業)が活発に展開されています。

 

2001年には、ソンミサンに配水施設を建設しようとするソウル市の計画に反対するため住民運動が起こり、その運動が地域のつながりをさらに強めていきました。現在では、「子育てをしたいまち、住みたいまち」としてこの地域がとても有名になりました。知名度が上がり、移住者も多くなると、「顔の見える関係」づくりが難しくなるなど、新たな課題が出てきています。

 「マウル」が拡大し、地域でのコミュニケーションが不足する時には、地域の祭りを企画するなど、新しい試みに挑戦して、地域の人々のつながりを大切に考えています。ここでは、「疎通」という言葉をよく耳にしました。
それにしても、行政の支援をあてにせず、自分たちで必要のあるものをつくりだそうという、そのエネルギーや情熱は素晴らしいものです。まさに、私たちが日頃めざしている住民自治が、ここでは行われています。

 日本でも、東日本大震災以降、かつてないほど、人々はつながりを求め、多くの人が、社会のあり方を問い直さなくてはならないと考え始めました。
ソンミサンの試行錯誤の活動は、地域の課題を解決することを通じて、大きなエネルギーとなっています。文化の違いを乗り越え、日本でも共感できるものは多くあると思います。ここでの取り組みを参考に、今後の地域のまちづくりに役立てていきます。