地域包括ケアのあるむら・まちを目指して

~ 第19回在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク~

この連休に、新潟市「朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター」で、19回目の大会が開かれました。国では、「社会保障制度改革と税の一体改革」が行われ来年には消費税の値上げ、介護保険の改正など、生活者を取り巻く環境も大きく変わろうとしている中で、少子高齢化は急速に進んでいます。特に、団塊の世代が高齢者になり、都市部では爆発的に高齢者が増えていく状況下、これからの地域のあり方が問われています。

 厚生労働省政策統括官の唐沢剛さんは、「少子高齢社会に対応していくためには、『地域包括システム』の確立が不可欠であり、介護が必要になっても、住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるよう、住まいを中心に医療、介護、予防、生活支援サービスを包括的に提供する(地域包括システム)。その構築には、『地域性』『循環性』『包括性』が必要であり、医療・介護分野における顔の見える関係をつくること、一人ひとりに寄り添う社会保障の考え方が重要になる。」と話されていました。

 一方、少子化の低下に歯止めがかからず、今後の人口減少社会の対応として、従来から子どもと子育て支援については、国をあげて取り上げられてきましたが、昨年8月、子ども・子育て支援方が成立し、子育て支援に対する税の配分も明確にされたことから、なお一層の拡充強化が求められています。そこで、これまでこども園、保育園、病時・病後時保育、障がい児保育などに取り組んでいる事例報告が分科会で行われました。

この報告の中で、文京区では、認知症グループホームに事業所内保育所を併設した幼老統合施設を開設し、取り組んでいる事業は、とても興味深いものでした。子どもと高齢者が隣り合わせでいることで、お年寄りは子どもに教えてあげようと意欲を持つことや、子どもから元気をもらう相乗効果があるとのこと。多世代交流によって得られるふれ合いが、今後の地域社会において役に立っていくのではないでしょうか。しかし、複合施設とはいえ、グループホームは区、事業所内保育は都の担当と、同じ福祉の事業でありながら、それぞれの基準を満たしつつ、同じ場所、同じ建物で行うことがいかに難しいか、その実情についても訴えていました。

今後も、地域で取り組まれている様々な医療、介護、生活支援など事例を通して、子ども、障がい者、高齢者の生活を支えていける地域社会を構築していく必要があります。