講演が終わり、樋口さんは帰り際に一冊の本を私に手渡して下さいました。
それは「チヤレンジ」と題した、都知事選の戦いをまとめた本です。
2003年都知事選、石原現職都知事の圧倒的優勢の中、何故毅然と立ち向かっていったのか。とても興味のあるところです。講演の中でも少し触れていましたが、樋口さんは鈴木都政、青島都政と続いて東京都の男女平等政策にかかわり、最後は「女性問題協議会」の会長として、青島都知事から依頼を受け、新たに制定される東京都男女平等参画基本条例に盛り込むべき内容のとりまとめとしての責任者でした。その間に都知事選があり、新しい都知事の石原さんに報告書を提出することになります。答申は受け取ったものの、条例制定にかかわるシンポジウムは突然の中止、新しい審議会の委員は、条例にかかわったメンバーが全員排除され、女性財団の廃止など、男女平等施策の流れが突然変っていっても、石原都政の中で、都庁が凍り付いてようにモノが言えなくなり、都民との対話のチャンスが消されていったことは、大きな問題だったと思います。
現在、国では「ジエンダー・フリー」という言葉は使用しないようにと通達をだし、千葉県では3月の下旬、県議会で女性センターに関する知事提案の条例案が自民党の反対で否決され、ドメスティックバイオレンスなど年約5千件の相談は行き場を失い、弱い立場の人達が追い詰められる事態まで引き起こしています。理不尽な男女共同参画へのバックラッシユが高まっています。
日本を当たり前の国にするためには、「臆病者」にならないこと。少数派である勇気をもつことです。今の日本では、少数派であることは民主主義を守る側に立つことですから、誇りをもつことになります。と樋口さんの本の最後に書かれています。 私達も勇気をもって、明日にチャレンジ!