「エネルギーで地域経済をまわす」 

第19回市民と行政の協議会は、「エネルギーで地域経済をまわす」というタイトルで行われました。この時に、コーディネートしてくれたのは田中信一郎さんです。田中さんは、2011年から5年間長野県でエネルギー政策担当者として仕事をしてきています。

最近出版された「信州はエネルギーシフトする」という著書には、これまでの取組が書かれており参考になりました。長野県は、ドイツのエネルギー政策を1つのモデルとして捉えていますが、日本の自治体では、東京都を参考にしており、市民と行政の協議会でも発言していました。

福島原発事故を受けて、多くの自治体が地域エネルギー政策に取り組みました。2017年3月現在37都道府県と12政令都市(自然エネルギー財団レポート)がエネルギーに関する計画やビジョンをもっています。

都の環境局などの職員が質問に答える

地域省エネ政策では、2000年以降、先進自治体による地球温暖化対策が基盤となっており、東京都、京都府、横浜市、長野県飯田市などがお手本となっています。都の排出量取引制度は、オフィスビル等の都市を対象とした世界初のもので、エネルギーを多量消費する事業所を対象とし、一定の温室効果ガス排出量を削減の義務を課しています。

今回の市民と行政の協議会を行うにあたって、田中信一郎さんからレクチャーを受けました。その時に言われたのが、「議員はすぐ再生可能エネルギーというと太陽光パネルを公共施設につけろと言う。それは間違っている」と否定されました。「まずは省エネ!」それは、ドイツの取組からの教訓です。

ドイツは、まず第1に、省エネへの設備投資を行っています。工場の生産設備を高効率に置き換えたり、オフィスの照明をLEDに交換したり、住宅の断熱性を高めるリフォームをしたりすれば、利便性に影響を与えることなく、エネルギー消費量と温室効果ガス排出量を削減することができます。

公共施設のコストを検討する時に、多少高くてもこのような投資と考えれば、いずれ投資額を回収することができるし、投資に伴う事業を地域の事業者が請け負えば、資金の流れを地域循環型に変えることが出来るというものでした。

世田谷区では、41の区立保育園の電気を長野県が運営する水力発電で作られた電力で賄われています。その事によって、世田区では、電気代が安くなる一方、長野県ではその利益を子どもの教育のためなどに使われているそうです。

質問をする市民(世田谷伊藤まきさん)

今回の市民と行政の協議会での政策議論は、来年の統一自治体選挙にむけて地域のエネルギー政策を考える上で、参考になったのではないでしょか!、