「ダム事業が生み出すもの・・町の再生ができるのか?」
視察2日目は、国土交通省から委託され現地の案内説明を行っている道の駅八ッ場ふるさと館(地域再生事業)からスタートしました。当日、案内してくれた方は地元の方で、バスに乗り、学校や保育園が新しく建設された林地区、長野原地区横壁地区など、見て回りました。
地元の方達は、いやいやダム工事のために、立ち退き、地区ごとにそれぞれの代替地に移り、新しい生活をスタートしています。しかし、温泉は、旧温泉街からくみ上げ、代替地の家は、まだまばらです。道の駅には、地域でつくられたイチゴや地酒などが販売されており、新たな雇用を生み出すための産業おこしが行われています。
ダム建設の計画がもちあがってから、すでに60年あまりの年月が流れ、ここに住み人達の世代も3世代にわたって交代してきました。当時は、反対運動の中心にいた人達も高齢化が進み、親から子ども、孫世代と手渡され、この事業に対する思いも様々です。水没後の樹木の枯死に伴う流木発生や富栄養化を防ぐ等を理由に、水没予定地の樹木は、灌水までに基本的に伐採されることになっています。ふるさとの町や美しい自然や渓谷などが、ダム湖に沈むのを見る時、耐え難い寂しさを感じるのではないでしょうか。
八ッ場ダムは、吾妻川の中流に建設する多目的ダムで、治水及び利水上極めて重要な施設となると国は計画を進めてきました。しかし、ダム建設の土地は、地すべりのデパートといわれるほど地質がもろく、ダム湛水による災害誘発の危険性が指摘されており、地域の人達が住む代替地の安全性や生活再建にむけた課題は、残されています。